【75歳以上高齢者】18項目に違反をすれば即認知機能検査!高齢運転者事故防止の法律改正を解説!

警察庁から「改正道路交通法」の施行日を2017年3月12日にするという方針を発表しました。

現行の改正道路交通法は2009年6月1日に施行され「75歳以上の高齢運転者に対する免許更新時の講習予備検査(認知機能検査)を実施」という内容が追加されたものでした。

今回の改正はこの「講習予備検査(認知機能検査)」の実施要領について変更を加えるもので、高齢運転者に起因する事故の未然防止を目的としています。

では今回の「改正道路交通法」により何が変わるのか?

詳しく見ていきます。

今までの道交法は?

現行の「道路交通法」は2009年6月1日に施行されました。

自転車の2人乗りや逆走の厳罰化などいくつか盛り込まれた項目の1つに「75歳以上の高齢運転者に対する免許更新時の講習予備検査(認知機能検査)を実施」というものがありました。

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この項目が追加された理由は「高齢運転者による事故」の発生率が年々上昇してきていることにあります。

高齢運転者は「高速道路の逆走」「ペダルの踏み間違い」などの「認知能力の低下に起因する事故」が多い傾向にあります。

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65歳以上の高齢運転者の交通死亡事故が若年者に次いで多いことがわかります。

また、違反による人身事故発生数を見ても同様の結果になっています。

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結論:「若年者」と「高齢者」は事故が多い!

このことから高齢運転者には、3年ごとの免許更新時に「講習予備検査(認知機能検査)」を受けさせ運転者の認知能力を判定し「分類分け」することになりました。

【分類】

第1分類:「記憶力・判断力が低くなっている者」

第2分類:「記憶力・判断力が少し低くなっている者」

第3分類:「記憶力・判断力に心配のない者」

【検査内容】

「講習予備検査(認知機能検査)」は3つの問題からなります。

時間はおよそ30分くらいです。

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【受験結果】

道交法改正後に「講習予備検査(認知機能検査)」を受験した方の分類の内訳はこのようになっています。

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「記憶力・判断力が低く~少し低くなっている者」が全体の約28%。

10人に3人は「運転に不安がある」ことがわかります。

改正でどうなる?

現行の道路交通法で問題が発生しました。

現行法の「検査は免許更新時のみ」と「第1分類でも違反歴がなければ医師の診断は不要」というところです。

2009年の段階(検証・調査を含めるともっと以前)では「第1・2分類」の高齢運転者がここまで増加するとは予測していなかったのかも知れません。

急増する高齢運転者の事故を受けて警察庁は「認知症対策は緊急を要する」と道路交通法の改正を検討。

この「免許更新までの空白期間」と「無違反の場合医師の診断不要」の改善を含めた改正道路交通法が2015年6月に成立しました。

【改正法施行後】

・75歳以上の運転免許所有者全員を対象に、一定の違反があった段階で臨時の「講習予備検査(認知機能検査)」を実施。

・更新時や臨時検査で1分類とされた人全員に医師の診断を義務付け。(受診先は認知症の専門医や主治医で脳波などの検査結果の記載も義務となり、医師が認知症と診断した場合免許取り消し)

・高齢者講習を「認知症の疑いがない」と判定された人は2時間、「認知症の疑いがある人」は3時間の講習に時間と内容を変更。

これで問題は解決できるでしょうか?

適用される違反項目は?

ここで気になることが1つ。

臨時検査は「すべての違反時」に受けるのか?

例えば「駐車違反」

全ての違反で検査をしていたらかなりの数の受験者が発生してしまい、警察の業務に多大な支障を及ぼしてしまいます。

このことから警察庁は認知症の専門医を含む調査研究委員会を設置して検討。

認知症が原因となることが多いとみられる18項目の違反行為を選びました。

【18項目の違反行為】

  • 信号無視
  • 通行が禁止されている道路を通行
  • 歩道の通行や逆走など通行区分違反
  • Uターン禁止の道路でのUターン
  • 進路変更禁止を示す黄色の線を越えて進路変更
  • 一時停止をせず踏切に立ち入り
  • 交差点で徐行せずに右左折
  • 直進レーンを通行中に右左折
  • 徐行せずに環状交差点で右左折
  • 優先道路を通行中の車両の進行を妨害
  • 交差点で直進する対向車を妨害して右折
  • 環状交差点内の車両の進行を妨害する
  • 歩行者が横断歩道を通行中に一時停止せずに通行
  • 横断歩道のない交差点で歩行者の通行を妨害
  • 徐行しなければならない場所で徐行しない
  • 一時停止をせずに交差点に進入
  • 右左折する時に合図を出さない
  • ハンドル操作を誤るなど安全運転義務に違反

速度違反や駐車違反は認知力の低下との関連が薄いため除外されています。

 

高齢者の認知力に関係なく、それ以外の年代でも守れていない人も多いと思う項目ですね。

「歩行者が横断歩道を通行中に一時停止せずに通行」とか!

まとめ

今回発表された違反18項目やその他の内容については、まだ確定ではありません。

今年5月13日~6月11日まで国民からの意見を募集した上で制度を正式に決定するそうです。

 

個人的には高齢者だけでなく「違反者」全体への厳罰化や、免許返納者への優遇を考えてもらいたいと思います。

反則金の桁を1つ上げるとか。運転経歴証で電車やタクシーが割引きになるとか。

(警察の取り締まり方も正義とは思いませんが。)

「ゴールドライセンス保有者」からの期待を踏まえた意見です。

3 COMMENTS

鍋谷 稔

76歳です。
9月15日に初めて一次不停止で切符を切られました
このような場合も臨時検査の対象となりますか?

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yome-talk

コメントありがとうございます。

警察庁WEBサイトを確認したところ
「75歳以上のドライバーが信号無視等の特定の交通違反をした場合に、臨時に認知機能検査を受けることとなります」
との一文がありました。

特定の交通違反はこちらです。
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninti/ihan.htm
警察庁WEBサイトに手続きや実施内容が記載されておりましたので確認されてみてください。
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html

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大橋 オサム

私も先日一旦停止を完全にしていないとの理由で反則切符を切られました。その後茨城公安委員会からの呼び出しを受けています。臨時認知機能検査を行うので往復2時間以上も掛けてつくば市内から水戸にある交通不便な茨城県警察運転免許センターまで出頭しろとのことです。車で行かなければ不便なところです。

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